2018年8月27日の夕方、テレビの上部に流れたニュース速報でわたしの全身に衝撃が走りました。
さくらももこさん、乳がんでご逝去。
ちびまる子ちゃんが…亡くなった。
わたしは思わず、「嘘!あんなに健康オタクだった人がこんなに早く死ぬはずない!」と呟いていました。
小学生の子どもが、「もうちびまる子ちゃんを見られなくなっちゃうの!」と騒ぎ出しましたが、蒼白になったわたしの顔を見て口をつぐみました。
衝撃を受けた人は日本全国にたくさんいますよね。
わたしと同じアラフォー世代の方は、こどもの頃「ちびまる子ちゃん」をコミックで読んでいた方も多いのではないでしょうか。
小さいときのあなたは、「りぼんっ子」でしたか?
わたしはりぼんっ子でした。
今アラフォーのわたしが小学生の頃。
親にさんざん泣きついて頼んで買ってもらえるようになった「りぼん」の中にはいつも「まるちゃん」がいました。
当時のりぼんは、「星の瞳のシルエット」「ときめきトゥナイト」「ハンサムな彼女」「姫ちゃんのリボン」などのキラキラした素敵な少女漫画と、「お父さんは心配症」「ちびまる子ちゃん」のようなへたうまなおもしろ漫画がぎっしり詰まった、夢のような雑誌でした。
わたしは毎月3日になるのが楽しみで楽しみで、学校が終わると380円を握りしめて書店へ走りました。
わくわくしながらページをめくり、隅から隅まで、ページの端っこのそれこそ文通募集の欄まで読んでいました。
「ちびまる子ちゃん」とわたし
「ちびまる子ちゃん」は、当時のわたしに「自分でも描けそうな絵だな」「まる子は大人になって漫画家になったのだからわたしでもなれそうだな」と壮大な夢を見せてくれました。
当時のりぼんの中で、ページ数も他の作品より少なく、お笑い担当というポジションだったこともあって、「さくらももこ」をわたしは完全になめていました。
わたしはノートにちびまる子ちゃん風の漫画を描き、得意になって毎日学校で友達に披露するようになっていました。
でもね、成長するにつれ、もちろん「さくらももこ」のマネはできないってわかりましたよ。
さくらももこさんは天才でした。
何気ない日常を、笑いに変えてしまう天才。
それもクスリとした笑いじゃない。大爆笑。
登場人物のセリフはなんだかいつもわざとらしくて、昭和の匂いがしていました。
それが本当に面白かった。
アニメ版のちびまる子ちゃんが始まると毎週見るようになり、いつしかわたしはりぼんを卒業しました。
(次は花とゆめに行きますがそれはさておき)
日曜の夕方、夕飯を作りながらカウンター越しにちびまる子ちゃんを眺める大人になりました。
アニメ版のちびまる子ちゃんはコミック版とは少し違いました。
国民的キャラクターになったまるちゃんは、原作よりちょっぴりかわいくて柔らかい。
全体的ににほんわかするお話が多くなりました。
時々、アニメで「脚本:さくらももこ」の回があると、パンチが効いていて本当に面白かった!
他の脚本家が書くよりシュールで、ユーモアがふんだんに盛り込まれていました。
やはり本人が書いたほうが、キャラクターたちがいきいきして、オチもしっかりついていたと思います。
ちびまる子ちゃんが、大好きでした。
誰でもスラスラ読めて笑ってしまうエッセイ
あの絵、あの個性的な絵。
ひと目見れば、「さくらももこ」だなとわかる唯一無二の絵。
エッセイで見るさくらももこさんのイラストは、どんどんレベルが上がっていきました。
カラーのイラストは、まるで曼荼羅のような緻密で繊細なものになっていきました。
大人でもこどもでも、誰でも読みやすくお腹を抱えて笑ってしまうような本をたくさん書かれました。
色々な国へ行って綺麗な宝石を集めたり、山に登って高山病になったり、色々な健康法を試しすぎて飲尿療法まで手を出してしまったり。
通勤途中の電車で、何度吹き出しそうになってしまったことか。
りぼんの中で、さくらさんが挿絵を描かれてめちゃくちゃ面白かった「みーやんのとんでもケチャップ」のみーやんさんとご結婚し、お子さんが生まれ、離婚され、また再婚され…
色々な人生経験を経て書かれたエッセイは時に切なく、いつも笑いとあたたかみがありました。
さくらももこさんのエッセイが、大好きでした。
不思議な世界観の「コジコジ」
可愛くて不思議な世界の住人の「コジコジ」は、大人になりしかも書店員という立場のわたしに、わざわざお金を払わせてコミックを購入させる魅力がありました。
まるで哲学のようなコジコジの考え方は、会社での毎日にストレスを感じていたわたしに計り知れない癒やしを与えてくれました。
何度ページを開いても新たな発見がある、面白くて不思議な漫画でした。
コジコジが、大好きでした。
最近の作品
「ちびしかくちゃん」をご存知でしたか?
ちびまるこちゃんのパロディです。
れっきとしたさくらももこさんの作品です。
家族全員四角い顔の「しか子」は、まる子よりもしたたかさの足りない女の子。
自分は悪くないのに、周りに理不尽に責められても受け入れてしまうほど弱い。
登場人物は全員、ちびまる子ちゃんの誰かに似ていますが、名前も顔も少しずつ違う。
そしてひどい性格の人ばかり(笑)
ブラックユーモアが強すぎて、アマゾンでは酷評されていました。
あのほんわかしたアニメのちびまる子ちゃんしか知らない人はそう思うと思います。
パロディなので、お話をそのまま真剣に受け取らないで、さくらももこさんのの独特のシュールさを楽しむ作品だと思います。
わたしからすれば、さくらさん、ふざけちゃってるなァ…と苦笑いしてしまう、でも懐かしさを感じた作品です。
突然、ワンピースのパロディから始まる作品も…
「ルフィ」ではなく「ウヒィ」がでてきます(笑)
「永沢君」は最近の作品ではありませんが、アマゾンで高評価。
中学生になった永沢君のお話。
もちろん藤木君も出てきます。
さくらももこさんへ
わたしは小さい頃から、ここでは紹介しきれないほど、あなたの作品を読んできました。
あなたがこの世に生まれてきてくれたおかげで、あなたの作品のおかげで、わたしの人生は少し豊かになり、人格形成にも少なからぬ影響を与えてくれました。
53歳で逝ってしまうなんて、早すぎます。
もっともっとたくさん、あなたの作品を手にとってわくわくしたかった。
愛する人達とのお別れが近いかもしれないと悟った時のさくらさんの気持ちを思うと、胸が苦しくなります。
もう、辛くはないですか?
そこは暖かな場所ですか?
懐かしい人には会えましたか?
ひょっとしたらコジコジにも会えたのではないですか?
わたしもそのうちそちらにお邪魔しますが、それまでさくらさんの作品をまた隅から隅まで読むことにします。
ほんとうに楽しい時間をありがとうございました!
さくらさんが大好きでした!
<終>
紹介しきれませんでしたが…